南アルプス山麓探訪

鎧岩

CATEGORY:自然

三峰川本流沿いにありかつては誰もが知るスポットであったものの、現在では次第に忘れ去られてしまいそうな場所がいくつもあります。

この鎧岩もその一つで、道路沿いに雑木が繁茂し今では少し見つけづらくなっています。

三峰川に釣りに入られる方は必ず目にするでしょうが、由来までご存知の方はなかなかいないでしょう。

   広々とした河原には、周囲八畳敷ほど、高さ六、七㍍の巨石が根をはやしたように鎮座する。コケむした頭には七、八本のコメツガが生え、巨石の歴史を伝える。

   「よろい岩というんだ」と案内の小松さん。小瀬戸峡付近に位置し、三峰川で最も奥の「浦」地区は、平家の落人部落と伝えられ、逃げのびてきた平家の落人がこの上で鎧を干したことから名がついた伝説の岩だ。近くには鎧岩沢という支流もあり、流域では相当に古くから知られた存在であった。

   伊那営林署伊那里担当区主任の有井寿美男さん(二七)によると、岩上のコメツガは高さ六、七㍍、直径は三十㌢ほどだ。だが、樹齢の高い木につくというコケのサルオガセが枝から白っぽくかかり「樹齢は二百年以上。普通だと、高さ三十㍍、直径も八十㌢にはなるのだが、養分の少ない石のため、自然の盆栽化している」(有井さん)。

   鎧岩の重さは約二百㌧というのが伊那営林署関係者の見方だった。以前工事で同じくらいのものを動かした時の体験からだ。だが、五十七年の台風以来、見方が変わった。もともと水系では最大級の岩だが、台風で大荒れの上流から、同じ大きさの巨石が五つもゴロゴロ流出したのに、鎧岩だけはびくともしなかった。「土に埋まった部分が相当ある」(有井さん)というわけだ。

信州の秘境(出版 – 信濃毎日新聞社 昭和60年) 94頁より引用

鎧岩全景。

かつては林道からよく見えましたが、現在は周囲の雑木が成長してしまったため、よく見ていないと見つけづらくなってしまいました。

鎧岩

三峰川まで下りて撮影したもの。

鎧岩 - 近景

盆栽化したツガの木。

ここだけ写真で切り取ると森のようですね。

鎧岩 - 岩に生えるツガの木々

WRITER

さわ
澤崎文仁sawasaki

1982年7月14日生まれ。伊那谷の町中で育つも山奥出身の親父に連れられ幼少の頃より山教育を受け、すっかり自分も山男になってしまった罠猟師。キノコ採りが一番好きだけれど、渓流釣り・山菜採り・登山・ふらふら冒険などまったり楽しんでいます。最近はハンモック泊がマイブーム。休日といえば山。