巨大な石灰岩層が貫く南アルプス山麓において、なぜか著名な鍾乳洞はありません。
今回、地元の猟師の間でのみ伝えられてきた神秘の鍾乳洞を敢えて紹介したいと思います。
簡単に行ける場所ではありませんが…。
※鍾乳洞周辺の歩きづらさも然ることながら、現在は熊の生息数がめちゃくちゃ多いです!
仙丈ヶ岳の西側、地蔵尾根コースの稜線から南へ少し外れたところに、丸山という山があります。
この山の南側の主尾根は猟師たちの間で「カンバ山」と呼ばれている場所です。
東側斜面はカラマツが植林されていますが、西側斜面はその名の通りシラカバ・ダケカンバが多く繁っています。
標高1,800mを超える辺りから原生林となり、ほぼツガ山といった様相になっていきます。
丸山谷の北沢を遡り、東から合流する最初の支流を「カンバ沢」と言いますが、その源流部に鍾乳洞が存在しています。
カンバ沢源流部に着くと石灰岩層が露出しはじめてきます。
滑落に注意が必要。
岩壁に沿って行くと、最初の穴が見えてきます。
テンションが上ってきます。
この最初に見える鍾乳洞はかなり小さめ。
高さ2~3mほど、奥行き3~4m程で、大人でも簡単に入れますが、「なんだ、ただの岩穴じゃん」程度。
十分に泊まれる広さですが。
最初の穴を出て、石灰岩層に沿って南へ少し下ると、ついにメインの洞窟の入口が見えてきます。
内部はかなり広い球状の空間になっています。
目が慣れていないうちに奥へ進もうとすると、入っていきなり足元が2m近く落ち込んでいます。
かつて鍾乳洞へ入った猟師(私の叔父さん含む)が、近くのツガの木を切ってハシゴ代わりにした跡が残っています。
もう相当昔のものなので、木は朽ち始めていて、降りようとしたら枝が折れてしまいました。
ナタとノコを持って行かなかったのが残念。
残念ついでに、入れていたつもりのヘッドライトがリュックに入っておらずものすごいショックを受けました(マジでやっちゃった…)。
だいぶ前に買った防水コンデジで撮影したので画質は期待できず。
取り敢えず広さはわかります。
上を見上げて撮影。
空間の奥行きはそんなにないようなのですが、高さはかなりのものです。
水滴が落ちる音が響いてきます。
黒い場所は焚き火跡です。
私の叔父さん(半分仙人の域)など、猟師がここに来た時ビバークしていたようです。
内部探索はまたの機会に。
外に出て、さらに岩壁を南へと沿っていくと、見事な屏風岩が見えてきました。
この岩も各所に穴が空いていたので、内部で繋がっていて、もしかしたら未発見の鍾乳洞があるのかも知れません。
屏風岩の一部。
この後、さらに屏風岩を回りこんで上部に出、丸山まで登ってきました。
ヘッドライトを忘れるという致命的な凡ミスで残念ながら内部探索にまでは至りませんでした。
また行ってきたら是非紹介したいと思います。