箕輪町から東の山を見ると、尾根の上に目立つ建物があるのが見えますが、そこが萱野高原です。
地元民なら、小学校の遠足やなんかで、大体一度は行ったことがあるスポットでしょう。
地元ではメジャー過ぎるしすぐ行けるしあんまり話題にもならない場所なのですが、以外に見どころが多い場所でもあります。
何よりちょっとした神秘スポットになっていて、分杭峠と合わせて紹介してもいいんじゃないかと個人的には思っています。
素晴らしい景色を楽しみながらお弁当を食べるだけでも良いですが、一度しっかり歩きまわってみると面白いですよ!
萱野高原へは、箕輪町福与から行くのが一般的です。
看板も多く立っていますが、登り口は狭く民家もあるので注意して走行してください。
他に箕輪町東箕輪、箕輪ダムからも行くことができます。
福与から峠の頂上まで登ると歓迎の看板があります。
ここは見通しの悪いヘアピンカーブになっているので走行注意。間違ってまっすぐ行くと箕輪ダムに至ります。
峠道を少し行くとすぐにかやの山荘に到着です。
ここに車を停めて散策開始です。
かやの山荘より、伊那方面の展望です。
萱野高原へ来る方の大部分はこの景色を見に来るのが目的でしょう。
萱野高原 - 伊那方面 - Spherical Image - RICOH THETA
展望台兼イベントスペースになっています。
こちらは箕輪方面の展望。天気が良いのが災いして、残念ながら風景が白飛びしてしまいました。
萱野高原 - 箕輪方面 - Spherical Image - RICOH THETA
建物内。
萱野高原 - イベントスペース - Spherical Image - RICOH THETA
ウォーキングマップです。
道は良く整備されていますが、山歩きの格好で来るのが無難。
見どころが多いのであっという間に一周することができます。
かやの山荘の北からウォーキングルートへ向かうと、早速夫婦神社の鳥居が。
少し歩くと夫婦神社の社務所前にある手水舎の広場に着きます。
鳥居から奥に目指せば夫婦神社、写真には写っていませんが北へまっすぐ行くと展望台に着きます。
案内板が各所に設置されているので迷うことはありません。
今回は先に展望台を目指しました。
すぐに萱野遺跡の看板があります。
縄文時代、上伊那地方は多くの人々が暮らす場所でした。
豊かな自然があり、近くで石器の材料となる黒曜石が豊富に取れたからです。
下諏訪の御柱を切り出すことで有名な東俣国有林を歩くと、今でも落ちている黒曜石を見つけることができます。
少し登って萱野遺跡に到着です。
現在この広場はキャンプ場になっています。
萱野遺跡からさらに少し行くと展望台に到着。
カメラをわざと箕輪ダム方面に設置してみました。
萱野高原 - 展望台 - Spherical Image - RICOH THETA
めおと広場。
手水舎の裏側にあたります。
夫婦神社の社務所です。
社務所なのに、知らないとこれが本殿だと思ってしまいそうな佇まいですね。
ここから、いよいよウォーキングルートを一周するコースへ入っていきます。
社務所を過ぎて少し行くと、夫婦松の由来があります。
萱野高原の誇るミステリー、二股の松がやたらに多いことの由来が書かれています。
いきなり天の川の話が出てくるのがとても意外!
これが噂の夫婦松。
周囲にはこのような松がたくさんあります。
余談ですが、守屋山の登山道にも何本か夫婦松があったりします。登る際は是非探してみてください。
夫婦松という特殊な形状の木に関連して、昔の杣人(木こり)が守っていた山仕事の禁忌の話をご紹介しておきましょう。
山仕事にたずさわる人たちの間では、木に関する禁忌が数多くある。そして、これをいたずらに犯す者は、必ず祟りが及ぶと信じられている。山の神様や氏神様の祠の周囲や、そこに入る道沿いにある木は伐ってはならない。伐ると罰が当たるという。 俗にいう「かえる股の木」や、「めがね木」も伐ってはならないという。かえる股の木というのは幹が二股に分かれた木をいい、めがね木は一本の木が途中で分かれ、先の方でまた一本に戻った木をいう。いずれも山の神や天狗が宿る木だといわれている。また、一の枝が東にのびた松は「お天狗様の松」といい、木のてっぺんがいかにも座り心地がよさそうに平らになっている木は「お天狗様の座り木」といって、絶対に手をつけてはならないという。形の変わった木は、老木も伐らない。
熊を殺すと雨が降る FIELD NOTE 山の民俗学(出版 – 山と渓谷社 2002年) 35-36頁より引用
夫婦松前の案内板に「金命水 80m」とあったので行ってみました。
小さな荒れた沢があったけどそれなのかな?
良くわからずさらに進んでみると散策路が崩壊しています。
上に乗ってみると非常に不安定だったので、ここで引き返しました。
先ほどの夫婦松まで戻ってから進んでいくと、ちょっとした広場にまた夫婦松が。
少し下るといよいよ夫婦神社の看板が見えてきます。
ついに夫婦神社に到着です。
正面にある賽銭箱から覗いてみました。
先ほどの由来にもあった夫婦岩の上に、小さなお社が建てられています。
少し下から見ると、夫婦岩からも夫婦松が生えているのがわかります。
神社からはしめ縄が伸び、対岸の岩へつながっています。
写真を失念してしまったのですが、賽銭箱の横には夫婦岩の由来が書かれています。
不思議なことに岩と松で由来が違ってるのはなぜ??何か関連していると思ったのですが…
夫婦岩の謂れ
大昔、このあたりに住んでいた人たちの中から選ばれた知勇に優れた夫婦が、一生この高原に住んで、四方に睨みを利かし、谷合いの村人を外敵から守り続けていたが、老令になるに及びついに一念願って、この夫婦岩になったという。
夫婦神社のアップ。
狙ったようなロケーションに夫婦松が生えています。
冬に来ると縄の先がわかりやすいのですが。
夫婦神社がある岩の下の部分です。
かなり大きな岩であることがわかりますね。
神社を後にし、植物園へ行きます。
道を進むといったん社務所の下に出るので、そこから案内板にしたがって「楓の森」を進んでいくと植物園に辿り着きます。
楓の森は秋に歩いた方がいいかも。
植物園の一番下には「夫婦池」もありますが泥だらけで絵にならなかったので撮影せず。
水芭蕉の群生地になっており、春一番に来ると一面の水芭蕉を見ることができます。
今回は水芭蕉が終わった後に行っていますが、実は水芭蕉の後にも見どころが。
たくさんのクリンソウも群生しているのです。
群生するクリンソウ。
記事が長くなってしまいましたが、萱野高原はやっぱり面白い場所です。
あんまり目立たないこんな少しの範囲の高原に、とても色々なものが詰まっている感じですね。